スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

黄褐色の夕暮れ

下関と釜山を結ぶフェリー「はまゆう」が、航路開設40周年を記念し、名誉
船長の山本譲二さんを迎えた「ワンナイト洋上ライブツアー」を行うのだそう。
ライブには興味はないけれど、ウン十年ぶりに、釜山には行ってみたい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

高校3年の夏。
私たち長府高校陸上部は、関釜フェリーに乗って釜山に行き、釜山の女子高校
陸上部と親善試合を行なった。

試合のことはトンと覚えていないのだが、その高校の生徒宅にホームステイ
させてもらった時のことは、ものすごく鮮明に覚えている。

親善試合が終わると、私たちは2~3人ずつに分けられ、ホームステイ先の
生徒を紹介された。
私と後輩の2人は、イー・ポッキーという美少女のお宅にお世話になることに。
今思えば、ポッキーは若い頃の吉永小百合さんに似ていた。顔も雰囲気も。

ポッキーは日本語を、私たちは韓国語を知らないが、3人はすぐに打ち解けて、
カタコトの英語とジェスチャーだけで、キャッキャッと笑い合いながら家路を
歩いた。

そういえば、砲丸投をしていた後輩。
不安げな表情で、まるで、ドナドナの牛のように別のホームステイ先に連れて
いかれていたっけ。

ポッキーの家は、学校から延々と歩いた山の中腹にあった。
瓦の門をくぐると中庭があり、その右隅に、私の背よりも大きな瓶がある。
生活に必要な水が蓄えられているらしい。

到着するなり、オンマ(お母さん)が、にこやかに私たちを迎えてくれた。
「シャワー、シャワー」
意訳すると、「暑かったでしょ。さ、シャワー浴びなさい」

私は、中庭の左側にある、裸電球の薄暗い倉庫(らしき場所)に通された。
オンマは、水の入った洗面器と、石鹸と、ひしゃくを1本置いて出ていく。

私は考えた。
これは、顔を洗えということか。それとも、これがシャワーということか。
私は、石鹸を使わずに顔を洗い、残りのしずくを、ひしゃくを使ってあち
こちにかけた。

夏。陸上の試合の後。しかも、山の中腹まで歩いて、さらに汗だく。
お風呂に入れないのは仕方ないとして、「ニホンジン、アセクサイ」と思
われたらどうしよう…。それが少し心配だった。

オンマが、トイレに案内してくれた。
「トイレはここよ。暗いから、落ちないでね」(意訳)

トイレは、シャワーを浴びた倉庫の隣の小屋。
電球はあったかもしれないが、真っ暗でよくわからない。
もちろんボットントイレだから、落ちないように、少しずつ歩を進める。
トイレットペーパーはあったかもしれないが、暗くてよくわからないから、
念のため持参していたティッシュを使う。
そして、私と後輩は、今日は絶対に“大きな方はしない”と決めた。

夕食までの時間、ポッキーは私たちを外に連れ出した。
山の中腹から見える、黄褐色に染まる夕暮れの港を、私たちは、立ったまま、
しばらくの間、黙って見ていた。


次回は「夕食編」


スポンサーサイト

テーマ : ひとりごとのようなもの
ジャンル : 日記

コメント

Secret

プロフィール

バウワウ(因幡智子)

Author:バウワウ(因幡智子)
ある時は会社員、ある時はバンドのヴォーカル、ある時はボランティアのスタッフ、そしてある時はキャリア・イノベーション協会のアンバサダー☆
ポリシーは「人生を諦めない」(^.^)

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。